CIA、国情院にどこまで浸透したのか

2001.09

■「安課長」ショック!!

 米・日・中・ロ周辺4強の諜報戦が容赦なく熾烈に行われる大韓民国の首都ソウル。最近、対北問題を取り扱う核心部署に勤務するある国情院幹部の対北情報流出事件は、対内外的に大きな波紋を生んだ。内谷洞国情院庁舎を揺さぶった「安課長」ショックの顛末と骨身に染みる教訓。

 「米国のように確認も、否認もしていない「NCND」として出していくことが原則だが、国家利益と情報機関間の円満な関係維持のため、このような席を設けました」。

 去る7月31日昼、ソウル市内のある飲食店。3.26内閣改造以後、初めてマスコミ社編集局長級幹部を一席に招請した辛建国家情報院長が沈痛な表情で口を開いた。この日、ある朝刊新聞に現れた国情院安某課長の対北情報流出事件に対する国情院側の立場を説明するための席だった。

 「金は、絶対に受け取らなかったと言います。飯代くらい出してやったのに。なにせ着実な人間で、内部でも惜しまれたが、少し厳しい程度に強く懲戒しました。内部綱紀と再発防止のため、手本の次元において、そのようにしたのです」。事案の敏感性のためなのか、陪席していた辛院長のこのような説明の後に、金保鉉3次長(対北担当)も、「本当に金を受け取らなかった」と口添えした。

 国情院側は、機密流出疑惑に対しても、強く否認した。

 「安課長は、「不眠不休の間に彼と会い、重要な情報を渡したことはない」と、頭から否定している。あちら側(米大使館側)も、「誤解だ」、「いつも行う情報協力なのに、何故、そのように騒々しいのか」という形で出てきています。文書を調査したが、特別に機密漏洩部分を発見できませんでした」。

 「金も受け取らず、機密流出もなかったのに、罷免措置を取ったのは、余りに過酷ではないか」という質問が出てくるや、辛院長は、「予防と警告、綱紀確立次元において、少し強く行った」とし、先程の答えを繰り返した。安課長本人も、反発しておらず、大いに悔やんでいることが国情院側の説明だった。

 ある参席者が「安課長と接触した相手側要員を追放しなければならないのでは」と訊ねるや、辛院長は、「該当国大使館側に遺憾を表明し、再発防止を要請した」と語った。国情院要員と会おうとすれば、我が方に要請すれば良いのに、そのまま会ったことが遺憾だということ。彼は、「情報流出事件でもないが、それ以上に問題と成り得る」とし、国益と情報機関間の持続的なチャンネル維持のため、言論が報道姿勢等の協力をするように要請した。

 しかし、辛院長のこのような解明と国情院側の「必死的な」努力にも拘らず、事件の波紋は、簡単には消えなかった。この日の夕方のTVニュースと翌日の朝刊には、国情院情報流出事件が「対北情報管理粗忽」論争まで加わり、比較的詳細に載せた。

■内谷洞国情院庁舎揺さぶる安某課長事件

 めったに外部に姿を現さない情報機関の総帥があたふたと言論社幹部達と午餐のテーブルを共にしたことから伺えるように、今回の事件の衝撃は、内谷洞国情院庁舎を揺さぶっている。何よりも、国情院の対北戦略樹立と執行を総括する5局(対北戦略企画局)の核心幹部が米国中央情報局(CIA)要員との不適切な接触のために罷免されたのは、1961年の中央情報部(国情院の前身)創設以後、前例のないことであるためである。

 その上、今回の事件は、ソウルを舞台に繰り広げられる米韓間の熾烈な対北情報収集戦争の微妙な雰囲気をそのまま反映していることが、情報当局者の耳打ちである。

 今回の事件を初めて報道した「中央日報」の7月31日付1面記事は、事件概要と国情院側の立場に対して、核心的な内容を圧縮している。

 「国家情報院において、南北関係の機密事項を取り扱っていた対北戦略局所属安某(40、3級)課長が外国情報機関要員と接触、機密を漏洩した嫌疑等により罷免されたことが30日確認された。安課長は、行政考試出身で、金泳三政権時から対北問題を担当してきたエリート要員であり、現政権出帆後には、太陽政策樹立と執行、南北平和体制への転換等、核心機密を総括してきた人物である。

 国情院関係者によれば、安氏は、昨年から外国情報機関の韓国系要員Yと接触し、この過程において、通常的な情報交流次元を超えた行為があったという嫌疑を国情院監察室が摘発したという。安氏は、Yと3〜4ヶ月に1回ずつ会ってきたものと知られている」という筋だった。

 国情院側は、この記事に対して、いかなる異議も提起していない。辛院長すら、報道直後、「内容が全て合っている」とし、「外国情報機関名を使用せず、要員の身分も明らかにしていない等、慎重に報道してくれて感謝する」と語る程度だった。国情院側は又、今回の事件が言論に報道されることを感知した30日午後、比較的詳細に事実関係を確認した。

 ノーコメントで一貫しているが、隠すのに忙しかった過去とは異なる姿だった。「国情院は、内部規定を破り、外国情報機関と個人的に接触してきた安○○(実名を確認してくれた)課長を7月23日付で罷免措置を行った。彼は、米国海外研修過程において、親しくしていた米国側要員ユン某氏と酒席及び採話過程において、職務上知り得た業務内容を口外した事実が自主監察の結果、確認され、懲戒の上に回付され、厳重処理された。彼の口外内容は、外国情報機関のとの情報協力過程において、交換できる水準だが、内部規定に違反し、品位を損傷させた点を勘案し、綱紀確立次元において一罰百戒した」という内容だった。

■「DJ政府対北政策の「全て」潰れるかも知れない」

 極秘に付された事件の顛末と監察、懲戒結果がそのまま言論に流れ出した状況において、国情院側は、事態収拾のために相当な内部鎮痛を経たものと伝えられている。ある関係者は、「今回の事態の場合、内部対策会議を通して、正面突破の方に希望を繋いだ可能性が大きい」と占った。事実を隠そうとしたり、避ける姿に映ることは、ともすれば、疑惑を膨らまし、すったもんだで後遺症が拡がるという判断が下されたという話である。

 国情院は、事実、今回の事件の顛末や波紋より、監察と懲戒結果が流出したことに、より困惑しているという。国情院のある高位幹部は、「安課長事件自体も、我々としては、衝撃を受けているが、更に問題なのが言論に余りに簡単に流れ出た点」と語った。内部的に極秘に付されたことが、僅か1週間も経たずに、新聞と放送に続々と報道されることは、情報機関としての位相に根本的な問題が生まれたという内部指摘があるのだろう。

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最終更新日:2004/03/19

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